約 1,878,299 件
https://w.atwiki.jp/gsyaruo/pages/20.html
______ , ----- 、二二二二二二| ̄ ̄ ̄| , -‐‐‐ 、, <´ ̄ ̄ .` .ヽく . . . . . . . . . . . ヽ、二二二二二二| |  ̄>--` . . . . . . . . . . . . . . `ヽ /ヽ、 . . . . .ヽ、二二二二二二| | ./ . . . . . . . . . . . . . . .! . . . . 、 . . . .ヽ/ |\ . . . . . ヘ二二二二二二| | / . . 〃 . . . . . . . .l .|ヽ . ヽヽヽ、 . . . . ', . i . ', \ . . . .ヘ二二二二二二| | ,' .// . . . / . . . | . | .|ヽ\ヽヽヽ、 . . .i,、 .∧ . .\ . . ヘ二二二二二二| | ∨.i . . / i | . ./`トl、,/} ノ__レ'ヽ . | |ヾ/ ', . .ヽ\ . ', なのはさんマジメインヒロイン と二二二二二二| | | . ∧ .iヽ . ⌒{}` |/´{} ` } . .,' | / ', . . .ヽ ヽ .i二二二二二二| | ', .| { . ',ヽ `ー′ `=彡イ / . !/ i . . . i . .ヽ |二二二二二二| | ヽ ヽヾ 八 '___ ! | ./| } . . . | . . . .|二二二二二二| | ヽヽヘ \ `ー ` /|./ .|、 .i . . . | . . . |二二二二二二| | / \≧ー< 丿//. < ̄7‐‐ 、 . |二二二二二二| | ヾ 、.r/、.// / / / ', | . . .|二二二二二二| / ,、r ´// .ヘ´ / ./- / }. . . | ________.../ / | / Ⅳ∧ヽ′ / / ヽ ,'. . ..| `ヽ カタカタ _/ | /ヽ/ヾ、/ヽ‐‐ .| ./ | , ≠ 、 / . | ', カタカタ r-r- // 〃 / .| / / ./ .| /,' .}/| . . . |________|__ ノノノと⌒ヽ// 〃∠‐ゝ∠ / !ヽ !{ 、 .丿| . . | | とししし⌒ヽ// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ !\ | / | . . | ||厂厂厂厂厂厂厂∨ У ‐‐/ | . . | || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\二ニ=─一─一'"´ ━[ステータス]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 美神 なのは / 人間(女) 】 好感度【90】…大切な人 体力 [3000/3000] / 霊力 [2000/2000] 装備 ・なのは専用神通棍(レイジングハート) 通常攻撃(+200) ・呪符一式 ・精霊石×2 ・通常攻撃(+200) -アビリティ- ・霊力集中 … 1ターン消費することで次のターンの攻撃力を2倍にする。ただし消費霊力も2倍。 ・霊力放射 … [自動] 全ての攻撃に[全体]付与 霊力:-20 ・根性 … 一戦闘に一度だけ体力が0になった時、体力が1の状態で復活する。霊力:0 ・ディバインバスター(霊波砲) … [破魔] 1d×300のダメージ 霊力:-200 ・スターライトブレイカー(収束霊波砲) … [3T目から][破魔][必殺] 消費する霊力の数値×1dの目の合計 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ‐説明‐ 23歳の若さで【S】ランクGSとなったオカルト業界では噂の人。 特製の神通棍から放たれる霊波砲は正に砲撃。 二人の弟子(ヒナギク・やる夫)を抱え、今日も悪霊を極楽に逝かせている。 攻略リーチに掛っている。現在イベント中。
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/79.html
高町ヴィヴィオ (10歳) Style: ストライクアーツ Skill: カウンターヒッター Magic: ベルカ&ミッドハイブリッド Device: セイクリッド・ハート (Hybrid-Intelligent) IM(インターミドル)参加履歴:初参加 アインハルト・ストラトス (12歳) Style: 覇王流(カイザーアーツ) Skill: 断空(だんくう) Magic: 真正古代(エンシェント)ベルカ Device: ??? IM(インターミドル)参加履歴:初参加 コロナ・ティミル (10歳) Style: ゴーレム創生(クリエイト) Skill: ゴーレム操作(コントロール) Magic: ミッドチルダ Device: ブランゼル(Intelligent) IM(インターミドル)参加履歴:初参加 リオ・ウェズリー (10歳) Style: 春光拳(しゅんこうけん)+ストライクアーツ Skill: 炎雷変換(えんらいへんかん) Magic: 近代ベルカ Device: ソルフェージュ(Intelligent) IM(インターミドル)参加履歴:初参加 インターミドル参加者
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/144.html
エリアサーチ 魔力で生成した「サーチャー」と呼ばれる消費型端末を複数飛ばす、中距離探索魔法。 サーチャーは術者に視覚情報を送信し、これによって術者はサーチャーの届く範囲すべてを視認捜索することができる。 変形・シューティングモード 魔力砲による砲撃を行うための形態。 この形態から放つ砲撃魔法「ディバインバスター」により、暴走する魔法の強制封印を行うことも可能。 ディバインバスター シューティングモードの状態で魔法陣展開、杖の周囲に生成される帯状魔法陣によって魔力の放出と収束をコントロールし、大威力の砲撃を放つ。 本来は攻撃用の魔法だが、今回は封印のために使用されている。
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/85.html
エリアサーチ 魔力で生成した「サーチャー」と呼ばれる消費型端末を複数飛ばす、中距離探索魔法。 サーチャーは術者に視覚情報を送信し、これによって術者はサーチャーの届く範囲すべてを視認捜索することができる。 変形・シューティングモード 魔力砲による砲撃を行うための形態。 この形態から放つ砲撃魔法「ディバインバスター」により、暴走する魔法の強制封印を行うことも可能。 ディバインバスター シューティングモードの状態で魔法陣展開、杖の周囲に生成される帯状魔法陣によって魔力の放出と収束をコントロールし、大威力の砲撃を放つ。 本来は攻撃用の魔法だが、今回は封印のために使用されている。
https://w.atwiki.jp/devilchildren_ld/pages/604.html
トップ|基礎知識|合体|訓練所|バトルネット|攻略|マップ|デビル|魔法・技|特殊能力|アイテム|その他 デビダスマスター シナリオの進捗により、居場所がかわる。光の書:ヴァルハラ・時の塔 ⇒ 魔界『中央』・セントラルランド ⇒ ヴァルハラ・アヴァロン ⇒ 古の塔・古の塔 闇の書:魔界『中央』・セントラルランド ⇒ ヴァルハラ・時の塔 ⇒ 原宿・原宿小学校 ⇒ ヴァルハラ・アヴァロン ⇒ ディープホール・ディープホール デビダスチェック デビダスクイズ|1回目|2回目|3回目|4回目|5回目|6回目 デビダスチェック デビダスの登録数に応じて、報酬をもらえる。 上へ デビダスクイズ 5つのクイズすべてに正解すると、報酬をもらえる。 1回目 光の書 闇の書 報酬;アタックのおこう・ガードのおこう・マジックのおこう・報酬;スピードのおこう・Mガードのおこう・ラックのおこう 報酬;アタックのおこう・ガードのおこう・マジックのおこう・報酬;スピードのおこう・Mガードのおこう・ラックのおこう 上へ 2回目 光の書 闇の書 報酬;No.165「LV13〈オニ〉イシトク」が仲魔になる 報酬;No.091「LV19〈リュウ〉ヒュドラ」が仲魔になる 上へ 3回目 光の書 闇の書 報酬;No.226「LV16〈ヨウマ〉かかし」が仲魔になる 報酬;No.013「LV24〈カミ〉オグマ」が仲魔になる 上へ 4回目 光の書 闇の書 報酬;No.240「LV26〈ヨウマ〉マーメイド」が仲魔になる 報酬;No.233「LV26〈ヨウマ〉ルサールカ」が仲魔になる 上へ 5回目 光の書 闇の書 報酬;No.022「LV42〈カミ〉ダグダ」が仲魔になる 報酬;No.184「LV42〈オニ〉シュテンドウジ」が仲魔になる 上へ 6回目 光の書 闇の書 報酬;No.112「LV53〈リュウ〉ヨルムンガルド」が仲魔になる 報酬;No.112「LV53〈リュウ〉ヨルムンガルド」が仲魔になる 上へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1677.html
こうして殺戮者がまた一人 喫茶『翠屋』。 ここは参加者の一人である高町なのはの実家であり、地球の海鳴市にあるはずの施設。 何故ここにそれがあるのか、それは果たして本物かなどといった疑問が湧くが、それに答えられる者はいない。 ただし、一つだけ確かなことがある。それは―――― 参加者の一人である赤い髪の少女が、今現在ここの2階……丁度なのはの私室にあたる位置にいる事である。 「あいつら、一体どういうつもりなんだ?」 そう言いながら、少女は支給されたデイバッグを開け、中の荷物を確かめる。何が入っていても、とりあえず役には立つだろう。 ……何? 何の役に立つかだって? それはもちろん―――― 「あたし達にとっちゃ、いつもやってる事だってのに」 ――――この殺し合いに乗った上での行動に、である。 少女……ヴィータはロストロギア『闇の書』により生み出された守護騎士である。 闇の書はある事をきっかけにして異世界へと渡り、そこにいる人間を主として騎士達を作り出し、魔力を蒐集する本だ。 今の主はヴァチカンの特務第13課『イスカリオテ機関』所属の神父。彼はヴィータ達守護騎士にイスカリオテの仕事をやらせていた。 さて、その仕事内容だが……それは、化け物やカトリックに牙を剥く異教徒を撃滅することである。 それ故、ヴィータにとって殺し合いはもはや日常と化していた。 だから、ヴィータがこの会場へと飛ばされたときには既にやる事を決めていた。 その「やる事」とはイスカリオテの行動方針に従った行動……すなわち、カトリックの敵の撃滅である。 早速いつも使っているデバイスのグラーフアイゼンを取り出し、出発しようとするが……手元にはなかった。 「アイゼンが無いって事は……武器は支給品を使えってことか?」 ヴィータはそう言って、スタート地点であるなのはの私室でデイバッグを漁り始めた。 グラーフアイゼンがあれば御の字、そうでなくてもよほど運が悪くない限りはそれなりの物が入っているだろうと思って。 そして、今に至るというわけである。 最初に出てきたのは、数枚のカードのようなもの。何やら動物をメタリックにしたような絵が描かれている。 ふと、最初に黒い鎧の男が使ったカードを思い浮かべるが……デザインが違いすぎるということで、すぐに却下する。 だとすれば、これは一体何なのだろうか。殺し合いをさせようというのだから、さすがに何の効果も無いゴミを支給するとは思えないが…… 「ん? 何だこりゃ……説明書?」 ふと、カードと一緒に取り出した一枚の紙に目が行く。上部には太字で大きく「説明書」と書かれていた。 何故本来読めないはずの日本語が読めたのか一瞬気になったのだが、字が読めようが読めまいが殺し合いには影響しないと考えて頭の中から叩き出す。 ちなみに、説明書にはこう書かれていた。 『 ラウズカード ライダーシステムに使われるカード。種類によって様々な効果を発揮する。 使い方はライダーシステム使用中にラウザーに通すだけという簡単設計。 ちなみにアンデッドと呼ばれる生命体が封じられている』 ライダーシステムやラウザーといった意味の分からない単語が入っているが、おそらくカードを使うための道具だろう。 そこからヴィータは、ライダーシステムが誰か参加者の手にあると考えた。いくらなんでもカードだけ支給するとは思えないからだ。 そして説明書に書かれている「様々な効果」……おそらく戦闘の役に立つものだ。ならば手に入れて損は無いだろう。 それらを頭の中でまとめ、そして出した結論を口に出した。 「ライダーシステムか……暇があったら探してみるか」 ヴィータはそう言い、次の支給品を探す。幾らなんでも武器も無しにカード数枚で戦えると思うほど自惚れてはいない。 次に取り出したのは、大剣のように見えるがそれとは違う何か。サイズ的にデイバッグには入りそうも無いが、どうやって入れていたのだろうか? ……具体的にどう違うかだが、まずは刀身にチェーンのようなものが付いている。 続いて手元に目をやると、でかいバッテリーでも入っているかのようなサイズだ。ついでに手元には紐のようなものが。 「……なんだこりゃ?」 これが何なのか分からないらしく、再びデイバッグを漁る。先程のラウズカードの時のように説明書が入っていることを期待して。 ついでに他のランダム支給品があればそれも調べようと思っていたようだが、残念ながらこれだけらしい。 そして数秒後に説明書を発見。それによると―――― 『 大貫さんのチェーンソー 陣代高校の用務員である大貫さんが使っているチェーンソー』 肝心の使い方は書かれていなかった。 「……誰だよ大貫さんって。つーか使い方くらい書いとけよ」 カードの時とは違いすぎる不親切ぶりに思わず呆れ返っているヴィータであった。 気を取り直し、これから行う事を考え始めたのはそれから一分後の事だった。 まず考えたのは、最初の部屋で見かけた人影のこと。 彼女の記憶が正しければ、あれは第3課『マタイ』所属の神父、アレクサンド・アンデルセンだった。 だとすれば、他にもヴァチカン関係者がいるかもしれない。ヴィータが名簿を手に取ったのは、そう考えてすぐの事だった。 「……やっぱりな」 あった。 彼女にとっては馴染み深い名が。 闇の書とともに様々な世界を渡ってきた仲間……ヴォルケンリッター達の名がそこにあった。 それ以外の名で覚えがあるのは、最初の部屋で見かけたので既に存在を知っているアンデルセンのみ。 このメンバーとの合流は……必要ないだろう。全員そう簡単にやられるほど弱くは無い。 ならば自分のやるべきことは、一人でも多くのカトリックの敵……異教徒と化け物を打ち倒すことだ。 数分後、翠屋からヴィータが出てきた。 支給されたデイバッグを背負い、右手にはチェーンソーを持っている。ギガントフォルムよりは軽いので、持ち歩きにはそれほど苦労しない。 「とにかく、早ぇとこアイゼンを手に入れねぇとな」 やはり装備は不満だったらしい。 無いよりはマシだと思ったのか手に持ってはいるが、やはり得体の知れないものよりも扱い慣れた相棒の方が戦いやすいだろう。 こうしてヴィータはこの殺し合いに乗った。 だが、彼女はまだ知らない。後の主の影響で、他のヴォルケンリッターの面々が変わってしまっていることを。 それらと出会った時に、彼女は何を思うのか。そしてどう行動するのか。それを知る者は未だいない。 【一日目 PM0 05】 【現在地 C-4 翠屋前】 【ヴィータ@NANOSING】 [状態] 健康 [装備] 大貫さんのチェーンソー@フルメタルまじかる [道具] 支給品一式・ラウズカード(種類・枚数は不明)@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー [思考・状況] 基本 カトリックの敵の撃滅 1 異教徒・化け物を打ち倒す 2 グラーフアイゼンの入手 3 あいつら(ヴォルケンリッター、アンデルセン)は……ほっといても簡単には死なないな 4 余裕があればライダーシステムの捜索 [備考] ※参戦時期はNANOSING幕間……つまり、イスカリオテに所属していた時期です。なので基本的にイスカリオテの考え方に染まっています ※ヴォルケンリッターとアンデルセン以外とは面識がありません ※ラウズカードの種類及び枚数は後続の書き手さんに任せます ※チェーンソーの使い方を理解していません 001 本編投下順 003
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/88.html
プロローグ この次元世界には無数の悪意が満ちている。 5年前に進攻を開始した恐竜帝国は日本が開発したスーパーロボット『ゲッターロボ』の活躍と『巴武蔵』の犠牲により再び地下へ追いやられた。 そして3年前に現れたインベーダーも また日本が開発した『ゲッターロボ』と『ゲッタードラゴン』の活躍により人類はなんとか勝利を修める事ができた。 そして平和が訪れたかに見えたこの世界。だがひそかに戦いは続いていた。 ゲッター線開発の一任者、『プレシア・テスタロッサ』が主犯の『PT事件』……『八神はやて』を主とする守護騎士達の起こした『闇の書事件』……。 PT事件は首謀者のプレシア・テスタロッサがかつてのゲッターロボのパイロット、『流竜馬』に殺害された事により解決。 そして流竜馬は刑務所行きとなり、プレシアが蘇らせようとした『アリシア・テスタロッサ』の遺体は姿を消した。 その後に起こった闇の書事件も謎の組織、『時空管理局』の協力で解決した。 そんな世界で、まだ10歳の少女の新たな物語が始まろうとしていた。 彼女の名前は『フェイト・テスタロッサ』。デバイス『バルディッシュ』と共に闇の書事件を解決へと導いた魔導師の一人だ。 彼女、フェイトの運命はゲッターによって大きく変わろうとしていた……。 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1577.html
【機動六課サイド】六話「爆走!クリムゾンウインガー!!」Aパート 【AAMON本拠地 兵器開発室】 「ようし…完成だ…!」 死神博士は、仮面ライダーアウレフを倒すべく、新型スーパーマシン・ダークセーバーを完成させた。 ダークセーバーは「CBR400F」に異常改造を施し、外装にバズーカ砲をも防ぐ特殊金属の鎧を装備した、恐るべきマシンである。(なお、この鎧はジャッカルを象っている) 「このダークセイバーに乗るのは貴様だ…現れよ!ジャッカル男!」 「グリィィィィィイ!!」 開発室の扉が開き、怪人ジャッカル男が姿を現した。 「ジャッカル男…貴様は一流レーサー級の腕前を持つ改造人間だ…このダークセーバーを乗りこなし、見事、アウレフを倒してみせよ!」 「グリイィィィィィイ!お任せください…死神博士!」 【モトクロスレース場】 その頃拓哉は、ティアナの頼みを受け、彼女のバイクテクニックの訓練のコーチをしていた。 今はティアナがゴールし、結果を報告している最中である。 「タイムは三秒縮まってる。中々良い調子だよ。」 「ホント!?」 「でも、まだまだちょっと、甘いかな。」 「あ…やっぱり…じゃあ、もう一周!」 「おいおい、これで三週目だろ?持たないぜ?」 「もうすぐあたし専用のマシンが届くの。だから完璧に乗りこなすためにも、腕を磨いておかないと…」 「ふう…わぁかったよ。もう一周ね。」 「!、うん!」 ティアナはヘルメットを被り、マシンのアクセルを踏んで走り出す。 拓哉はティアナのスタートと同時にアナログストップウォッチのスイッチを入れるが… 「…ん?」 ストップウォッチの針は進まなかった。 拓哉はなんどもなんどもスイッチを押すが、やはり針は動かない。 「…嫌な予感がする。」 拓哉は遠くなっていくティアナを見つめ、不安を募らせた。 【レース場 コース中盤】 拓哉の不安をよそに、ティアナはコース中盤まで差し掛かる。 先程より調子が良く、「この調子でゴールを…」タイムを焦るばかり、ティアナは良い結果を出すことのみに執着していた。 そしてそんな彼女のマシンに向け、一発の槍が飛んできた。 「!?、きゃ!?」 槍はマシンのタイヤを貫き、ティアナはバランスを崩して倒れたマシンの上から投げ出され、硬い地面の上を転がった。 「クッ…しまった…」 「ギィ!ギィ!」 すると槍が飛んできた方角から十人ほどの戦闘員が現れ、倒れているティアナを取り囲む。 「こいつが神城拓哉の仲間か?」 「ああ、捕らえて人質に…」 「待てぃ!」 「「!?」」 空中からシャウトが響き、拓哉が空中で一回転しながら地上に降りてきた。 「た…拓哉…」 「予感的中!ティアナ!大丈夫!?」 「神城!貴様何故ここへ!?」 戦闘員の一人が驚きながらそう言う。 「虫の知らせって奴さ!来い!!」 「ギィ!」 戦闘員達は槍を構え、拓哉に襲い掛かる。 拓哉はトリッキーなアクションで戦闘員達の槍をかわし、素早い動きを駆使して様々な技を繰り出し、戦闘員軍団を蹴散らした。 しかし槍部隊を倒したのもつかの間、次は戦闘員オートバイ部隊が現れ、拓哉に向かってきた。 「休む時間ぐらいくれってんだよ…変身!トオッ!」 拓哉は変身ポーズを取り、宙に飛ぶ。 そしてアウレフに変身した拓哉は待機していたガルベストンに空中から着席し、アクセルを踏んでマシンを爆走させる。 アウレフの駆る青いガルベストンは戦闘員オートバイ部隊と激突し、激しいバイク戦を繰り広げる。 しかし、いくら戦闘員の腕がよくとも戦闘員達が乗っているのは通常のバイク。 スーパーマシン・ガルベストンに乗ったアウレフに適う筈もなく、バイクを扱ったアウレフの攻撃の前に次から次へと撃墜されていった。 しかしアウレフは気付いていなかった。 自分のバイクテクニックとガルベストンの性能が、隠しカメラでサーチされていることに… 【AAMON本拠地司令室】 「見よ、ジャッカル男。あれがアウレフのバイクテクニックだ。」 「ハッ!」 ジャッカル男はガルベストンを駆るアウレフが写ったモニターを見つめる。 「どうだ?」 「俺とほぼ互角の腕をしていますが、マシンの性能は俺のダークセーバーの方が上です。 マシン性能の差で私の勝ちですよ。」 「クックックック…たぁのもしいぞ…ジャッカル男…」 ……… 「終わったか…」 敵オートバイ部隊を全滅させたアウレフは拓哉に戻り、ガルベストンから降りて戦闘員達のバイクの残骸を見つめる。 「おかしい…手応えがなさ過ぎる…それに何だ…この妙な不安は…」 「拓哉…」 「ん?ああ、ごめんティアナ!放置しちゃって!」 拓哉は右足を抑えながら立っているティアナに駆け寄り、懐から包帯を取り出す。 「うお!包帯!」 「用意は周到にってね。でも、戻ったら「ラファエル」に診せ…」 「ティィィィィィィィアァァァァァァナアァァァァァア!!」 「「ん?」」 拓哉とティアナは凄まじい雄叫び(?)を耳にし、雄叫びが聞こえた方向を振り向く。 そこにはグリンクローバーを爆走させ、こちらに猛スピードで突っ込んでくる睦月の姿が… 「誰?」 「睦月兄…」 当然ノリ的にグリンクローバーの車体は拓哉を跳ね飛ばす。 そして睦月は拓哉を跳ね飛ばした後ブレーキを掛けてマシンを止め、足を怪我しているティアナの傍に大急ぎで駆け寄る。 「大丈夫かティアナ!?俺、救急箱持ってきたから…」 「睦月兄…心配してくれるのは嬉しいんだけど…」 「え?」 「あれ…」 ティアナは跳ね飛ばされて頭を地面に強く打ちつけ、頭部からおびただしい量の血を流して倒れている拓哉を指差す。 「あれ?なにあれ?」 「跳ね飛ばした自覚がないのかい!?」 【機動六課隊舎医務室】 「…!」 享一に治療魔法をかけてもらいながらティアナの隣に立っている睦月を睨む拓哉。 当然その眼光からは憎しみの念が満遍なく放たれている。 「いやぁ…ごめんごめん!ティアナが危ない目にあってるような気がしてバイクをとばしてたら、周りの「どうでもいいもの」が見えなくて…」 「…それ謝ってるつもりですか?」 「…ごめん。」 拓哉に深く頭を下げる睦月。 「まぁ良いじゃないか拓ちゃん!助かったんだし。」 「黙れエロ医者!改造されてなかったら間違いなく死んでたんだぞ!」 「それだけ元気があれば心配はないよ。はい、治療終わり。」 享一は治療魔法を止め、拓哉の頭部に包帯を巻く。 「こっちも終わりです。」 「ありがと、ラファエル。」 ラファエルも治療魔法を止め、ティアナの足に湿布を張りつけ、テープで止める。 「まったく久々の出番かと思ったらこの程度の怪我治しか…目立たないなぁ…」 享一はそう呟くとデスクの引き出しからアダルト雑誌を取り出し、読み始める。 「お前…」 「医者がアダルト雑誌を読んじゃ駄目って法律は無いよ。」 「いや、だからといってお前…」 「失礼。」 「「ん?」」 医務室のドアが開き、橘が入室してくる。 「橘さん!」 「久しぶりだな、ティアナ。そして…」 橘は拓哉の方に向き直り、挨拶する。 「君が神城拓哉君か。俺は橘、ギャレンだ。よろしく頼む。」 「拓哉です、橘さんのお話は、ティアナから聞いています。よろしくお願いします、先輩。」 拓哉と橘は握手を交わす。 「すまないな。俺の弟子が、迷惑をかけてしまったようだ。」 「いやはや全く…」 「…」 小さくなる睦月。 「橘さん、聞きましたよ。」 「何だティアナ?」 「志村さんが…裏切り者だったって…」 「ああ…俺の不手際だ…しかし、今は志村のことを話している場合じゃない。俺たちが何故来たか…分かるな?」 「はい…」 ティアナは座っていた椅子から立ち上がる。 「完成したんですね…「クリムゾンウインガー」が…」 「ああ。ブルースペイダー、レッドランバス、シャドーチェイサー、グリンクローバー、そしてブラックファングの五台を遥かに凌ぐマシンが完成した。 まぁ、話すより見てもらったほうが良いだろう。 拓哉、ティアナ、来てくれ。」 「「はい!」」 拓哉とティアナは、橘と睦月に連れられ、格納庫に向かった。 【機動六課隊舎格納庫】 「これだ。」 橘はマシンにかけられた灰色のシートを取り去る。 するとシートの下から、不死鳥を象った紅蓮色の美しいマシンが現れた。 「「おお~!」」 「最高速度970キロを誇り、スペード9「マッハ」、ダイヤ9「ジェミニ」、ハート9「リフレクト」、クラブ9「スモッグ」の能力を備えた、スーパーマシンだ。」 「これが…私の…」 「ただし、乗りこなすには厳しい訓練が必要だ。早速だが、訓練に入るぞ。」 「はい!」 ……… 数十分後、橘はバイク型のシュミレーションマシンを用意し、ティアナをそれに乗せる。 「ティアナ、これも付けろ。」 橘はティアナに奇妙なヘルメットを渡す。 「これをかぶることによって、脳内に映像が送られ、クリムゾンウインガーのスピードが体感できるようになる。」 「分かりました。」 ティアナはヘルメットをかぶり、シュミレーターのハンドルを握る。 「橘さん!準備OKです!」 「行くぞ!」 橘はシュミレーターのスイッチを入れた。 【ティアナの脳内】 スイッチを入れると同時にティアナの脳内にモトクロスレース場の映像が映し出される。 当然、ティアナはバリアジャケットを装着し、クリムゾンウインガーに乗っていた。 『ティアナ、映像が見えるか?』 「はい!」 『映像のウインガーのアクセルを踏め。それでシュミレーションスタートだ。』 「分かりました!行くわよ…ウインガー!」 ティアナはクリムゾンウインガーのアクセルを踏み、シュミレーションを開始した。 ……… 【機動六課隊舎格納庫】 100キロ、150キロ、200キロ…シュミレーターに表示されたスピードは50キロずつ上がっていく。 しかし、ティアナは呻き声一つ上げず、シュミレーターマシンのハンドルを操作していた。 「500キロを超えた…それでも呻き声一つ上げないなんて…」 「流石はティアナ!俺の妹分…」 拓哉と睦月は感心し、微笑む。 しかし橘は、真剣な表情を崩さない。 「橘さん?何難しい顔してるんですか?」 「睦月…まだ全力のスピードで走っているわけじゃない。本番はこれからだ。」 「え?」 「ティアナ!ティアナ!」 「!?」 睦月はティアナに必死に呼びかける拓哉の声に気づき、ティアナの方を振り向く。 「う…ああああああああ!!ああああああああああああ!!」 ティアナは急に強烈なうめき声を上げて苦しんでおり、体中に汗をかいていた。 スピードは700キロに達している。 「ティアナ!!!」 「くっ…やはり駄目だったか…!」 橘はシュミレーターのスイッチを切り、機能を停止させる。 ティアナの近くに居た拓哉はヘルメットを外し、気を失っているティアナを抱きかかえ、大声で呼びかけた。 「ティアナ!ティアナ!」 しかし、何度呼びかけてもティアナは反応しない。 「橘さん!上城さん!ティアナを医務室へ!」 「ああ!」 「…」 「睦月!しっかりしろ!」 「は!…は…はい!」 【医務室】 一時間後、ティアナは医務室のベッドの上で目を覚ました。 「ん…ん?ここは?」 「目が覚めた?」 「!?」 ティアナは突然聞こえた拓哉の声に驚き、隣を振り向く。 そこには、拓哉、橘、睦月が立っていた。 「拓哉…橘さん…睦月兄…」 「おはよ♪」 「…」 「ティアナ…」 「…そっか、あたし、700キロでリタイアしちゃったんだ…」 「ティアナ。700キロじゃないだろう?もっと前からダウンしかけていたと思うが?」 「う…」 ティアナは橘の一言に黙り、少ししてから口を開く。 「…橘さんの目はごまかせませんね。本当は500キロ辺りから辛かったです…でも…マシンを乗りこなしたかったから…」 「そうか…」 「…うっ…くっ…ティアナぁ…」 睦月は膝を落とし、布団に顔を埋めて泣き崩れた。 「ちょ!なんで睦月兄が泣くのよ!?」 「俺…気付いてやれなかった…ティアナが辛いのに…気付いてやれなかった…俺…俺…」 「睦月…」 「上城さん…」 「睦月兄…睦月兄のせいじゃないよ。」 「そうだ。俺も…ティアナの異変に気付きつつあったんだ…早く止めてやるべきだった…」 「僕だって…気付けなかった…」 「うっ…うう…皆…」 「おい!大変だ!!」 医務室の扉がいきなり開き、ヴィータが現れる。 「副隊長…」 「拓哉!怪人が出た!悪いけど先行してくれ!」 「どうして?皆で行った方が…」 「その怪人、おかしなバイクに乗ってるんだ!」 「え!?」 「そのバイク、お前のガルベストンと互角かそれ以上のスピードを持ってて、ヘリじゃとても追い付けねぇ!だからお前が先行して、そのバイクを叩き潰して欲しいんだ!」 「分かりました!」 「拓哉、俺も行く。味方は多いほうが良い。」 「…!(涙を拭き取る)俺だって行く!」」 「上城さん、橘さん、失礼ですが貴方方のマシンでは、ガルベストンのスピードには到底届かない。スバル達と一緒に来てください。」 「くっ…しょうがないか…」 「チクショー!」 「拓哉…」 ティアナは心配そうな表情で拓哉を見つめる。 「大丈夫!帰ってきたらまたバイテクを教えるから、それまで休んでろよ!」 拓哉はティアナにウインクを送り、ヴィータと共に医務室を出て行った。 「…睦月、拓哉はああいったが、なにか罠がないとも限らん。念のため、お前だけでもこっそり付いていってやれ。」 「あ…はい!」 睦月は橘の命を受け、医務室を出る。 「(拓哉、睦月兄…無事に帰ってきてね…!)」 ティアナはベッドの上で、戦場に向かった二人の無事を祈った。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1031.html
それは小さな願いでした。 何事も無い穏やかな日々…… ただ静かに過ぎてゆく日々…… 何よりも愛おしかったその日々に、静かに落ちた影。 運命という名の鎖を断ち切る力…… この手に得る事ができるなら…… 全てを棄てても構わないと。 誓いは夜天の星の元…… この手の剣で、未来を開く……! 宇宙の騎士リリカルなのはBLADE…… 始まります。 海鳴市、月村邸。解りやすく言うと、すずかの家。 とんでもなく巨大な豪邸。そしてとんでもなく巨大な庭。並の給料の一般市民では手も届かないような豪邸に、はやてはいた。 昨日、シンヤを含めたヴォルケンリッター一同が帰って来なかった為に、はやては一晩ここにお邪魔したのだ。 「ほんならありがとうな、すずかちゃん」 「うん、またね」 そろそろ八神家に帰宅するらしく、門からすずかと、ファリン。それから、はやての車椅子を押したノエルが現れる。 ちなみにファリンは月村家で雇われているメイド。ノエルはそのメイド長だ。すずかを含めて全員紫系の髪の色をしている。 「是非是非、また起こし下さいね!はやてちゃん」 「ありがとうございます」 はやてはファリンにお辞儀し、優しく微笑んだ。 一方、そのころの八神家。 家にいるのはシグナムとシャマル、ザフィーラだけだ。 特にすることも無い。シグナムとザフィーラは、リビングのソファに座り、目を閉じていた。 そこへ入ってきたシャマルが、エプロンをつけながら言った。 「シグナム。はやてちゃん、もうじき帰ってくるそうよ」 「そうか……」 「シンヤくんと、ヴィータちゃんは……まだ?」 冷蔵庫を開けるシャマル。 「ヴィータは、少し遠出するらしい。夕方には戻るそうだ。」 「そう……シンヤくんは?」 「あいつは……」 表情を変えるシグナム。シャマルはその表情から、だいたいの事情を察した。 「やっぱりシンヤくん……ブレードに負けた事、まだ気にしてるの……?」 「そうらしいな……あいつはしばらく、自分を鍛え直すつもりなんだろう……」 「鍛え直すって……もしそれまでにはやてちゃんの状態が悪化でもしたら……!」 「……解っている」 シグナムは、言いながらシャマルが開けっ放している冷蔵庫へと歩み寄った。 「だが、シンヤにはシンヤの事情がある。これまで随分と助けて貰ったんだ。後は我らでやればいい」 「……そっか……。そういえばシンヤ君、協力者だったよね……」 シグナムは「ああ」と返しながら、冷蔵庫から水が入ったペットボトルを取り出した。 「それにしても……変わったよね」 「……何がだ?」 「シンヤくんよ。貴女もそうだけど……はやてちゃんと出会ってからシンヤくん、凄く丸くなった」 「……そうだな。最初は何を考えてるかわからない。危険な男だったのにな……」 「フ……」と軽く微笑むシグナム。過去の出来事を振り返っているのだ。 「はぁあああああああッ!!!」 ここは、一面砂漠しか無い辺境の世界。赤い閃光が、数匹の巨大な竜に激しい攻撃を繰り返していた。 赤い閃光……『テッカマンエビル』は、手にしたテックランサーで竜を斬り刻む。斬って斬って斬りまくる。 そして一匹倒せばまた次の生物へとターゲットを切り替える。 「(クソ……こんな奴らいくら倒したって……!)」 テックランサーを振り下ろし、四つ脚の巨大生物の背中に立ったエビルは、そのままテックランサーを突き立てる。巨大生物は悲痛な叫びを轟かせる。 「でも……もう一度……もう一度ブレードを越える為には、こうするしか無いんだよッ!!」 そのままスラスターを噴射。巨大生物を背中から真っ二つに切り裂いた。 一方で、ノエルの車に乗ったはやても、シンヤの事を考えていた。 「そっか……シンヤが来てからもう3ヶ月になるんやな……」 「シンヤさん……?」 月村家のメイド長であるノエルに家まで送って貰う最中。はやてはシンヤやヴォルケンリッターの話をしていた。 「はい……うちの居候です」 「そうですか……そんな風に皆さんが一緒にいてくれると、賑やかでいいですね」 「はい。もう、何やこう……毎日むやみに楽しいです」 クスッと微笑むはやて。運転しているノエルも、楽しそうに話を聞いている。 「(……そういえばシンヤも、だいぶ変わったなぁ……)」 そんな事を考えながら窓の外を眺めていると、自然と笑いが零れていた。 「うおぉおおおお!!!」 3匹、4匹と巨大生物を狩りながら、エビルは自問自答を繰り返していた。 確かにブレードは倒したい。だが、今はこんなことをしている場合なのか…… 「(……何を迷う事がある!ブレードを倒す為ならば、俺はなんでもすると誓ったはずだ!)」 迷いを振り払うように。光の如き速度で、テックランサーを振り続ける。 本当にこれでいいのか……? そんな疑問がシンヤの脳裏をよぎる。自分には他に、やるべき事があるのでは無いか? 誰かを救いたい……そんな事を考えた事は無かっただろうか? 「(いいや……!俺は何よりも兄さんを……ブレードを倒す事を望んでいたはずだ!!)」 ラダムの意思を埋め込まれた時点で、自分からは人としての感情など消し去ったはずだ。 それなのに、今では無くなった筈の感情が込み上げて来る事がある。 「(これも全て、あの時の戦いからだ……!)」 事の発端は、3ヶ月前の、『あの戦い』だった。 それはシンヤが元いた世界。60億を越えた人類もラダムにより滅ぼされ、地球は新たなテッカマンの温床となっていた。 だが奴は……テッカマンブレードは、守るべき物を失っても尚、ラダムへの抵抗を続けていた。 「うおぉおおおおおおおッ!ラダム……ラダムゥッ……!!」 一人でラダム母艦へと突き進んでゆくブレード。それを阻もうと湧き出るラダム獣を、次々と斬り倒してゆく。 もはやラダムに対する怒りと憎しみと、沸き上がる憎悪の本能だけで戦い続けているのだ。 そんな哀れなブレードの息の根を止める。その為に、シンヤは宇宙へと飛び立った。 「ブレードぉぉぉぉぉッッ!!!」 「エビルゥゥゥーーーーッ!!!」 二人の兄弟……ブレードとエビルは、何度も何度も、お互いの刃をぶつけ合い。その度に激しさを増していった。 「最高だ!最高だよ兄さん!こうして兄弟で殺し合いができる……俺はこれを望んでたんだよぉ!!」 「うぉぉおおおおおおおお!!エビルぅぅぅ!!!」 「ハハハハハ!もう言葉も解らないのかい、ブレードォッ!」 「うぉぉぉあああああああ!!!」 もはや二人の間に言葉は存在しない。死ぬか生きるか。力のぶつけ合いだった。 やがて二人は、全ての決着を付ける為に、お互いのボルテッカをぶつけ合った。 ぶつかり合う事で、ブレードのボルテッカは、エビルのPSYボルテッカに吸収され、拡散してゆく。 そして二人が見た最後の輝きは、この孤独な世界の全てを包み込んだ……。 それから、どれくらいの時間が過ぎたのか。俺はどこかの町で、意識を失い、倒れていた。 「何をしてるんだ、ヴィータ……」 「あ、どうしようシグナム……人が倒れてんだよ……!」 「(何だ……人間か……?)」 シンヤはうっすらと目を開けた。そこにいるのは、何人かの女と。車椅子の少女。 「うわっ……酷い怪我……」 金髪の女に車椅子を押されながら現れた車椅子の少女。少女は、傷付いたシンヤを見て、自分の口を塞いだ。 「どうしますか……主?」 「どうするってそんなん……放っとく訳にいかへんやん!」 薄い視界に映るのは。ピンクの髪の、どう見ても強そうな女が、車椅子に乗ったどう見ても非力そうな女に指示を仰ぐという奇妙な光景だった。 「とりあえず、家に連れて帰って、シャマルに治癒してもらお!」 「……わかりました。」 そう言い、ピンクの髪の女が、俺を持ち上げようとする。シンヤにとってそれは、堪らなく嫌だった。 こんな虫けらの、しかも女に情けを掛けられるようでは、ラダムのテッカマンの名がすたる。 「……めろ……触る……な……」 「ん……?何か言ったか……?」 「触るな……離せ……人間!」 次の瞬間、シンヤは持てる力を振り絞り、女を突き飛ばした。 「クッ……貴様、何をする……!」 「俺は……ラダムの……テッカマンエビルだ!」 「何……?」 「人間風情が……この俺の体に……」 触れるな!……そう言おうとした、その時だった。 「うるさい」 「ぬぅっ……!?」 シンヤの体を、鈍い痛みが襲った。ヴィータが、持っていたゲートボールのクラブをシンヤの脳天に振り下ろしたのだ。 ……こうしてシンヤは、ヴィータが軽い気持ちで放った一撃により、トドメを刺された。 「ちょ、ちょっとヴィータちゃん何やってるの!?」 「いや……だってなんかめんどくさそうな奴だったから……」 「はぁ……まったくお前は……。早くこの男を連れて帰るぞ」 薄れゆく意識の中で、シンヤは3人の女の声を聞いた。 それからまた時間が過ぎて、気付けば俺はどこかのベッドの中にいた。 ゆっくりと起き上がるシンヤ。目の前にいるのは、さっきのピンク髪の女だ。 「目が覚めたようだな……ラダムのテッカマンエビルとか言ったか」 「お前……何者だ?俺が怖く無いのか……?」 「怖いだと?バカバカしい。何故私がお前相手に恐れなければならん」 「フン」と鼻で笑うシグナム。ここでシンヤは、様子がおかしい事に気付いた。普通なら、テッカマンと名乗った時点で、恐れ、警戒するはずだ。 だがこの女は違う。もしや、テッカマンを知らないとでも言うのか……? 聞けば、この世界にラダムは侵攻していないらしい。それどころか、ラダムという言葉自体、初めて聞く様子だ。 「……じゃあお前は、ラダムってとこのテッカマンで、地球侵略の為の兵士だってのか?」 ヴィータに問われたシンヤは、「……そうだ。」と返した。 こんな家、破壊して逃げ出そうとも思ったが、シンヤはそこまで乱暴では無い。一先ず自己紹介だ。 どうせ人間なんて、すぐに恐れを成して逃げ出す筈だ。そう思っていたのだ。 だが、シンヤの予想は大きく外れた。 「……嘘臭いな……」 「うん……侵略ってそんな、漫画や無いねんから……」 「な……ッ!?」 シグナムとはやては、そんなシンヤの言葉を冗談と捕らえたらしい。はやてに至っては楽しげに笑っている。 「それに地球侵略なんてしたら、大勢の人が困ってまう。そんな物騒なことしたらアカンで?」 「……だから俺は……!」 言い返そうとした、その時であった。キッチンから料理を持ったシャマルが、シンヤの言葉を遮った。 「はいはいはいはい、話は後にして。まずは晩御飯!」 「晩御飯……だと……?」 「うん、私が作ってん。エビル君も食べ?」 微笑むはやて。シンヤとしては、「ふざけるな!」と言いたかった。 何が悲しくて今まで虫けらと踏みにじってきた奴らの作った物を食べねばならないのだ。 そう思ったシンヤは、料理を前にして、腕を組んだままそっぽを向いた。 「食べないの?エビルくん……」 「何で俺が人間の作った料理なんて……!」 「まぁ、食ってみろよエビル。ぜってー美味いからよ!」 料理を奨める一同。ヴィータも、シャマルも、はやても。シンヤを見て微笑んでいた。 こんな光景を見ていると、忘れていた何かを思い出しそうになる。シンヤは「仕方ない……」と、渋々焼き魚を一口、口に入れた。 「思えばこの時点でどうかしてたのかもしれないね……」 時間を再び現代へと戻す。エビルは、テックランサーで斬り倒した巨大生物から次の生物へと跳び移りながら、そう呟いた。 再び回想シーンへと戻る。 「どうだ、美味いだろ?」 「エビル君の口に合うかわからへんけど……どうやろ?」 ヴィータもはやても、ニコニコと微笑みながらシンヤの顔を見詰めている。美味い。たしかに美味い。悔しいが、それは認めてもいい。 だが、それ以前に……こいつらは一つ勘違いをしている。 「おい、なんとか言えよエビル」 「……シンヤだ……」 「え……?」 「俺の名前はエビルじゃない。シンヤだ……」 この部屋にいる、ザフィーラ以外の一同は、皆顔を見合わせる。キョトンとした表情だ。 最初にテッカマンエビルと名乗ったばかりに、こいつらは皆俺の名前をエビルだと思っていたらしい。 それを聞いたはやては、さらに明るい笑顔をシンヤへと向け、言った。 「美味しかったやろ?シンヤ!」 それから、帰る家の無い俺は、しばらく八神家で過ごす事になった。 ……というより、半ば強制的にそうなった。 この世界には、ラダム母艦も、テッカマンオメガも、ラダムマザーも存在しない。 それはつまり、ラダムとは何の関係も無い世界という事だ。 毎日を八神家で過ごしているうちに、俺はラダムとしての意思を忘れそうになることもあった。 こんな世界で、テッカマンエビルが一人で戦ったところで、ラダムにも俺にも何のメリットも無い。 それどころか、長らくラダムからの指示を受けない状態が続いた為に、段々と人間らしさを取り戻していったのかもしれない。 このままこの世界に他のテッカマンが現れない限り、俺が暴走する事は無いだろう。 俺は「せめてこの世界にいる間だけでも、人間としての生活を続けよう」そう思った。 やがて、シグナム達もシンヤの話-ラダムやテッカマンの話-を信じてくれた。 別の世界の住人だと言う事は最初から理解してくれていたようだが、流石に侵略とまで行くと中々信じられないのも解らない事は無い。 「シンヤ……少し話がある」 「なんだい、シグナム?」 八神家で珍しく二人きりになったシンヤとシグナム。シンヤは、突然話しかけて来たシグナムに向き直った。 「お前は侵略者なんだったな……」 「ああ。それがどうかしたのかい?」 「どうだ?今の生活は……?」 何を聞きたいのか、割と真剣な表情で話を切り出すシグナム。シンヤは、「フフ」と笑いながら答えた。 「じゃあシグナムにはどう見えるんだよ?今の俺がさ」 「……最初と比べると……いい顔になったな」 「そうか。ならそう言う事なんじゃないか?」 シグナムも、既にシンヤに対する警戒心はかなり薄れていた。だからこその質問だろう。 「ならばもし、この世界にもラダムが攻めて来たらどうする……?」 「もしラダムが現れたら……その時は……」 シンヤはゆっくりとシグナムに背中を向けた。シンヤの背中を見詰めるシグナム。 「どんなに人間らしさを取り戻しても……俺はラダムだよ」 少し俯くシグナム。 「……我らは主はやてに仕える騎士だ。もし、主に危害が及ぶようなら……我らは全力でラダムと戦うだろう……」 「……そうか……」 シグナムはその答えを聞くと、黙り込んでしまった。と、いってもシグナムにとっては黙っているのが普通の状態なのだろうが。 それからも穏やかな日常は、続いていた。はやて達と一緒に服を買いに行ったり。はやてに付き合って一緒に散歩したり。 こんな日常がいつまでも続けばいい。そんなことを考える時もあった。 時はゆっくりと過ぎてゆき、俺はただ、はやて達と一緒に。何事も無い日々を過ごしていった。 ある日の晩、俺とはやては八神家の庭から、星空を見上げていた。 「綺麗……」 「……そうだね……」 目を輝かせるはやて。だが、シンヤはどこか暗い表情を浮かべていた。 「どうしたん?元気無いよ、シンヤ?」 「……何でもないさ。ただ、星空を見てると……嫌な事を思い出すんだ。」 それは、シンヤがまだ幼かった頃。父さんと、タカヤ兄さんと。三人で星空を見上げていた時の記憶。鮮明に覚えているのは、父さんの目……。 「シンヤ……思い出したく無いんやったら、思い出さんでええねんよ?」 「……はやて……」 「ん……何や?」 人間だった頃の……しかも、こんな忌ま忌ましい記憶はどうでもいい。それよりも、シンヤには気になる事があったのだ。 「はやてはいいのかい?闇の書を、完成させなくて……」 シンヤに問われたはやては、小さくため息をついた。 「シグナムも言ってたけど、闇の書が完成すれば、はやては大いなる力を手にすることができる。そうすれば、この脚だって……」 「……あかんって。闇の書のページを集めるには、色んな人にご迷惑おかけせなあかん。」 「………………」 「そんなんはあかん。自分の身勝手の為に、人に迷惑かけるんはよく無い。」 穏やかな表情で喋るはやて。シンヤも、黙って聞き入る。何か、思うことがあったのだろう。 「それに、私は今のままで十分幸せやから」 「そうか……わかった。」 はやてがそう思っているのなら、それでいい。シンヤは穏やかに微笑み返した。 もしこの世界に来なかったら、自分はこんな考えを持つ事は未来永劫無かっただろう。 まだ完全に理解した訳では無いが、はやてが言おうとしていたのは、間違いなくラダムには有り得なかった考えだ。 「(だけど……それでもタカヤ兄さんが相手なら……)」 再び星空を見上げた、その時だった。 「はやてー!」 「あぁ、どないしたん?ヴィータ」 リビングから走って来るのは、目を輝かせたヴィータだ。 「冷凍庫のアイス、食っていい!?」 「お前……よく食べるな……」 「うるせぇな!育ち盛りなんだよ!」 呆れたシンヤ。闇の書の騎士に育ち盛りとかがあるのかは疑問だが。 「しゃーないなぁ……ちょっとだけやで?」 はやてにそう言われたヴィータは、嬉しそうに「おぉ!」と答えた。 シンヤは、そのまま立ち去ろうとするヴィータを、シンヤが引き止める。 「ヴィータ!」 「……何だよ?」 怪訝そうな顔でシンヤを見詰めるヴィータ。 「冷凍庫の……俺のアイスをやるよ」 「え……いいのか!?」 「ああ。多分、俺はアレ食べないからさ。」 その言葉に、一気にヴィータの笑顔が眩しさを増す。 「サンキューな、シンヤ!!」 言いながらヴィータは、嬉しそうにリビングへと走って行った。 「シンヤ……」 「……ん?」 「私は闇の書には何も望めへん。私がマスターでいる間は、闇の書の事は忘れて欲しいねん。 だから、シンヤも……ここに居る間はラダムとか、侵略とか、そんなん忘れて……?」 「……ああ、わかったよ……」 はやてにとっては、皆で穏やかに暮らせればそれで良かったのだ。強いて望むとすれば、このまま皆で、平和に暮らしたい。ただそれだけだ。 それがシンヤにとっても共通の願いかどうかは、シンヤ自身にも解らない。 だが、今の生活に不満は無かった。 それから数日後の事だった。 それはあまりにも突然過ぎた。俺達に知らされたのは、はやての命に関わる話。 闇の書に魔力を喰われ続けたはやて。このままでは脚のみならず命まで落としかねないというのだ。 もちろん突然そんな話を聞かされれば、流石のシンヤだって驚くのも無理は無い。 「じゃあ……はやての脚は、闇の書の呪いだって言うのか!?」 シンヤの質問に、シグナムとシャマルは、順番に説明を始めた。 「そうだ……抑圧された強大な魔力は、リンカーコアが未成熟な主の体を蝕み……生命活動さえも疎外していた……」 「……そして、はやてちゃんが第一の覚醒を迎えた事で、それは加速した……」 「第一の覚醒……?」 「ああ。私達4人の存在を維持する為に、僅かとは言え、主の魔力を消費していることも、無関係とは言えないのだろう……」 驚愕するシンヤ。これよりもさらに過酷な運命を背負った男を、シンヤは知っている。 だが、はやてはまだ9歳の少女なのだ。 『助けたい』。そう思った。 ラダムのテッカマンエビルは。この時初めて、誰かの命を救いたいと感じた。 いや、シンヤ自身は気付かないかもしれないが、シンヤの人としての心は、間違いなくそう感じた。 海鳴市の、とあるビルの屋上。 ヴォルケンリッターと、シンヤが向き合って立っている。 はやての体を蝕んでいるのは、闇の書の呪い。 はやてが闇の書の主として、真の覚醒を得れば……はやての病は消える。消えずとも、進みは止まる。 はやての未来を血で汚したくは無い。だから、人殺しだけはしない……! すでに、5人は決意を固めていた。 「申し訳ありません……我が主。ただ一度だけ、貴女との誓いを破ります……!」 シグナムの声に呼応し、ペンダント型のデバイス……レヴァンティンが起動した。 同時に、シグナムの体は桃色の騎士甲冑に包まれてゆく。 それに合わせるように、シャマル・ヴィータも騎士甲冑を身に纏った。そしてザフィーラは、犬形態から人間形態へと変身。 4人が姿を変えていく中、残ったシンヤは、握り締めた赤いシステムボックス……テッククリスタルを見詰めた。 「まさか……また使う事になるとはね……」 そう呟くと、シンヤはテッククリスタルを掲げ、叫んだ。 「テェックセッタァーーーッ!!!」 同時に、テッククリスタルの左右の突起が翼の用に飛び出した。 そこにいるのは、相羽シンヤでは無い。赤い悪魔、『テッカマンエビル』だ。 「これで終わらせてやる……!」 ここは、何の文明も無い砂漠世界。大量に現れる巨大生物を、次から次へと切り倒してゆくエビル。 「(確かに俺は、はやてを救いたいのかもしれない……だが!)」 空に舞い上がり、胸のボタン状のボルテッカ発射口から、フェルミオンを吸収する。 「(兄さんは……ブレードだけは!倒さなくちゃいけないんだよぉッ!!)」 「PSYボルテッカァァァーーーーーーーッ!!!」 エビルの胸から伸びた合計6本の閃光は、残り3匹の巨大竜全てに命中。 凄まじい光と爆音。PSYボルテッカの着弾地点から数百メートルは、赤いフェルミオンの光に包まれた。 一方の海鳴市。フェイトは、ハラオウン家に帰宅していた。 リビングに入って、真っ先に目に入ったのは、眠るようにソファに腰掛けていたDボゥイだ。 「ちょっと、Dボゥイ?」 「……フェイトか。どうした?」 ゆっくりと目を開くDボゥイ。そこにいるのは、制服のまま少しだけ不機嫌そうな顔をしたフェイトだ。 「さっきはどうして私達のこと無視したの?」 「無視だと……?」 Dボゥイには、フェイトが何の話をしているのかがわからない。気付かないうちに無視していたのだろうか? 「ほら、さっき私達に話し掛けられたのに、無視したでしょ?」 「……そうか。すまない、気付かなかったんだろう……」 「気付かなかったって……」 その時だった。 『ピンポーン』と、家のチャイムが鳴る。どうやら一緒に買い物に行く約束をしていたなのはが、フェイトを迎に来たらしい。 フェイトは話を中断し、一度なのはを家へと招き入れた。 「こんにちは、Dボゥイさん」 Dボゥイに軽く挨拶するなのは。そしてなのはが次に口にしたのは、Dボゥイへの質問だった。 「そういえばDボゥイ、さっきはあんなところで何をしてたの?」 「あんなところ……だと?」 「ほら、さっきスーパーの近くで、私達と会ったじゃない」 「……なんだと?」 流石に話がおかしい事に気付く。さっきからこの二人は何を言ってるんだ。Dボゥイは、真剣な表情でなのは達を見詰めた。 「だってさっき、スーパーの近くにいた……よね?」 「いや、俺は今日はずっとここにいた。外には出ていない」 「嘘でしょ?だって、確かにDボゥイだったよ……?」 フェイトもなのはも、怪訝そうにDボゥイを見詰める。 「嘘じゃないよ。Dボゥイは今日、一度も外に出てない。アタシが保証するよ」 「アルフ……」 人間形態のアルフが、コップに入ったジュースを飲みながらなのは達に近寄った。 「まさか……」 この世界には、一人だけDボゥイと同じ顔を持った人物がいる。 それは同じ日に、少しの時間差でこの世界に生まれ落ちた兄弟。 「シンヤ……」 Dボゥイは誰にも聞こえないような小さな声で、そう呟いた。 そのほぼ同刻、無限書庫。 そこには膨大な量の書物が360度、どこを見てもビッチリと詰まっている。 書庫内は無重力らしく、そこにいるユーノ、リーゼアリアとロッテの三人はフワフワと浮かんでいる。 「……これは……」 そんな中ユーノは、数冊の書物の検索に完了した。検索された本は、ユーノの周囲を浮かぶ。 「……テッカマン……?」 本に記された文字を、ユーノは口にした。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2589.html
突然室内に警報が響いた。 暗い部屋に赤い光が不規則に点り、警報の音は一級警戒体制を知らせる。 モニターには赤くアラートと映し出され、すぐにはやてから通信が入った。 内容は教会の追っていたレリックらしい物を積んだ山岳リニアレールが、ガジェットに襲われたと言うことだ。 しかも悪いことに、リニアレールのコントロールがガジェットにやられて制御不能、暴走状態に陥っている。 確認できているだけでも車内に約30体。 さらには新型の出現の可能性もあるらしい。 教会本部からの緊急出動要請に、はやてはすぐさま指令をくだした。 「機動六課フォワード部隊、出動!!!!」 それから数分後、 暗く、窓から光がさす狭いとも言えない室内……ヘリの中で、フォワード4人になのはにリィン、そしてアムロが座る。 なのはとリィンは敵戦力について話し合い、フォワード4人は、初の実戦ということだろうか、戸惑いや不安を抱いているようだ。 そしてアムロは新しいデバイス、サイコフレームを持って、 「……俺の…デバイスか………」 そう呟いていた。 《よろしくお願いします、マスター。》 サイコフレームからは、まるで女性のような声で挨拶される。 しかしアムロも「ああ、頼む。」と返して、外を見た。 「空か………」 静かにに呟く。 宇宙(そら)をかけた男は、懐かしむかのように青い空を眺め、6人を見る。 かつての悲劇を繰り返さないためにも、皆を守って見せる……… そう心に誓って……… 第05話 ファースト・コンタクト 「うわっ!」 突然ヴァイスが奇声をあげた。 「どうしたのヴァイス君?」 山の影からリニアレールの確認できる位置に飛行していただけだったはず。 ヴァイスはコクピットに入ってきたなのはに前を指差した。 彼女が先を見ると、 「ガジェット!?」 新型の飛行タイプ、2型が十数機編隊を組んで飛んでいた。 さらに、 『こちら本部、周囲にも反応を捕らえました!』 モニターに地図が出され、現在地とガジェットの配置を映し出す。 「何て数………」 正面に後ろ2方向。 囲まれた状況だ。 だが、 「アムロさん、このヘリと彼女達をお願い。」 「了解した。」 そういうと今度は、 「ヴァイス君。」 「ウィッス、なのはさん!」 まさに以心伝心、アムロもヴァイスもなのはが言おうとしていることはすぐにわかった。 《Hatch Open》 このヘリのデバイス、ストームレイダーが後部ハッチを開ける。 機械音と共に外の風景と風が一気に入ってくる。 「それじゃあ皆、先に行っちゃうけど、ズバッとやっつけちゃおう。」 ハッチに立つなのはは、そういった。 フォワード4人は緊張しながらも返事を返すも、キャロだけは何か様子が違った。 なのはは元気付けようと近づこうとした。 その時だった。 ドォン! 軽い爆音と共にヘリが軽く揺れる。 立っていたなのははバランスを崩してその場に座る。 ガジェットの攻撃だ。 ここから微かに見える前方には、ガジェットが後数百メートルにまで近づいていた。 「チィ……ガジェットか………」アムロは急いでハッチに向かい、 「なのは、後は頼んだぞ。」 といってハッチに立った。 「お願い、アムロさん!」 そうしてアムロは、 「頼むぞ、サイコフレーム。」 《Yes Master》 サイコフレームを片手に、 「ロンド・ベル01、アムロ、行きます!!」 空に飛び立った。 《Stand by Lady Set Up》 そうサイコフレームがいうと同時に緑の光が放たれ、その光はバリアとなってアムロの周りに展開した。 サイコフレームはアムロの手から離れると緑の光を纏いながら上に舞い上がり、T字の上の部分に様々なパーツが合体していく。 黒、白と合体し、完成するとそれはライフルのような形となり、T字の下の部分が軽く後に傾く。 そう、銃で言うところのグリップとなった。 《1st Forme. Berrier Jeaket and Shield》 さらにそういうと、アムロの青い制服に緑の光が被さると、身体に黒い鎧、白いズボンに一瞬で変わった。 さらに上半身と腰になのは達が着るようなバリアジャケットが前を開けた状態で現れ、肩と左右腰、腕にプロテクターが現れる。 肩は白くかくばっており、左肩にはアムロの赤いエンブレム。 腰はシグナムなどが付けている騎士甲冑のような形の白い装甲。 腕は篭手の位置に騎士甲冑のような物を上だけ付けている。 右腕は白く鮮やかに3枚の装甲が装着されたが、左腕は少し違い、上の2枚が黒く、残りの1枚は黄色くなって、さらにその篭手に棒状の物がはまるように装着された。 そして足に騎士甲冑には見えない不思議な靴が装着される。 ももの部分と靴の下部は黒く、他は白く塗装される。 最後に右手に質量を持った白い盾を持つ。 その盾にも赤いアムロのエンブレムが入る。 そしてライフルになったサイコフレームを手に取る。 ここに、新たなデバイスを持った白き魔導士が誕生した。 装備が終わり、緑色のシールドが砕ける。 その中心にある魔法陣に彼は立っていた。 「…これは………」 装着されたバリアジャケットとも騎士甲冑ともとれない服と、ライフルになったサイコフレームを見る。 服、色、形、武器、盾、 多少違えど見覚えのあるその姿。 アムロにとっては見間違えるはずもない。 「…ν……ガンダム………?」 そう、 かつてアムロが設計し、アクシズでシャアとの死闘を繰り広げた愛機が、姿を変えて自分を守る服となっているのだ。 《これがマスターの新しい防護服、1stフォルムです。》 「1st?」 その言葉を聞き返すと、 《これは「1st」と呼ばれるフォルムで、さらに「2nd」、「3rd」、「Final」まであります。》 と語った。 恐らく、この上位のバリアジャケットが存在するのだろうと仮説を立てた。 その時、 《このまま私のスペック説明等を続けようと思いましたが………》サイコフレームはそういい、 《敵が接近中の為、戦闘を行いながらやろうと思います、許可を。》 といった。 前を見るとそこには接近してきているガジェットの姿。 アムロはそれを見て決意する。 「許可する。行くぞ!」 《Yes Master. Rising Wing》 サイコフレームの飛行魔法でアムロはガジェットの部隊に突撃した。 しかし、その速度はかつてのアムロを凌ぐスピードを出す。 ライジングウイング。 サイコフレームの飛行魔法、高速の光の翼である。 だがその間にも、サイコフレームは自分のスペックを淡々と語っていく。 《私は、サイコフレームと呼ばれる材質と魔力との互換性を前提に開発されました。 そのため、私は自分の性質を利用して魔力の増幅、強化を行う特殊なデバイスとして生まれました。》 「ということは、魔力リミッターがかかっていても魔力ランクが上がるのか?」 気になりアムロは聞くと、 《そうです。ちなみに現在のマスターは、推定1ランクアップのAAランクです。》 と言われた。 つまりはリミッターを外せばかなりの魔力になる。 かなりの戦闘能力を手に入れた。 が、 《しかしながら、従来のデバイスのように攻撃が出来なくなりました。》 突然の一言。 だがさらに、 《そのために形状変化機能を搭載しています。》 と付け加えた。 《この能力はマスターの記憶と魔力、想像力によって完成します。無論、私自身のメモリーからの再現も可能です。》 そこまで聞いて、アムロは考えついた。 「つまりはデバイスで行っていた攻撃が出来なくなったかわりに、ある一つの攻撃に特化した武器になれるのか?」 《そうです。》 「だが、可能なのか?」 《魔力の増幅量が多ければ理論上なら可能です。》 そういわれた。 結論だけをいうと、このサイコフレームは魔力を増幅するかわりに、デバイスによる攻撃が出来なくなった。 だが、サイコフレーム本体が変形し、特化した魔導武器になれるということである。 《……正面、敵影関知。》 気がつけば敵との距離は100メートルを切っていた。 《次は武装のスペック説明を行います。》 そういって《まずはライフルです。実際に使用してみてください。》といわれた。 だが、トリガーと思えるものは無い。 そこに、 《魔力を微量でもいいので供給して、射撃のイメージをしてください。》 そういわれたため、言われた通りにアムロは、身体から微量の魔力を供給し、敵を狙いながらライフルを構えてイメージをする。 すると、 バシュン!! 一筋の桃色の光線。 かつてのビームライフルのように敵をとらえ、そして、 ドォォォン!!!! 撃墜した。 ガジェット2型を一撃で撃墜する威力。 魔力はほんの僅かしか供給していないのにこの威力。 頼もしいかぎりだった。 だがその爆煙からさらに4機。 サイコフレームは《続けて攻撃を、》といった。 無論、アムロも断る理由も無く「ああ。」と答えた。 まわりには4機の2型。 その後ろにも5機の編隊が2組続く。 だが、新しいデバイスを手に入れた彼には無駄だった。 右から、左からと襲われるもライフルを撃ち、あっという間に2機を撃墜、一気に上昇する。 《このライフルモードは魔力射撃武器です。誘導弾とは異なり誘導機能はありません。》 戦闘しながらも黙々と説明を続けるサイコフレーム。 《代わりに出力変更機能が搭載されており、限界はありますが強力な砲撃が可能です。》 そういわれて、アムロはその場でライフルを下に向け、チャージした。 そして、 「落ちろ!」 《Buster Shoot》 その言葉と共にライフルが火を噴いた。 先ほどよりも太い光が敵を飲み込み、一気に後の編隊をも巻き込み数機が落ちた。 だが、残りのガジェットが攻撃を仕掛けてきた。 そして、 ドガァァァァン!!!! 「アムロさん!!」 ガジェットの攻撃を受けたのだろう。 その攻撃が彼に当たったと同時に、スバルはアムロの名を叫んだ。 その爆発はものすごく、スバル達のいるヘリの中からも見てとれた。 「そんな………」 絶望に似た表情でティアナは呟く。 だが、その爆煙からアムロが飛び出した。 「アムロさん!」 だが、何かがおかしい。 2人……3人……… なぜかアムロが3人、残りのガジェットに飛んでいく。 「え、なんで?」 それを見てティアナが気付く。 「ダミーシルエット………」 そう、彼女の得意とする幻影魔術である。 ガジェットの砲火がアムロのシルエットを貫く。 当然シルエットの為貫通したと同時に消える。 そして全てのシルエットが消え去った。 この魔法は通称フォーミュラシルエットと呼ばれるアムロのダミーシルエットだ。 3つの中には本物はいなかったのだ。 途端に後方から攻撃を受けるガジェット。 いつの間にか背後にまわっていたのだ。 「通常魔法は使えるのか………」 《通常、デバイスを通さない魔法は使えます。》 そういって残りをあっという間に撃墜する。 そして……… 「スターズ3、スバル・ナカジマ!」 「スターズ4、ティアナ・ランスター!」 「ライトニング3、エリオ・モンディアル!」 「ライトニング4、キャロ・ル・ルシエとフリード・リヒ!」 「「行きます!!!!」」 フォワード陣の初めての実戦が始まる……… 残りの空戦部隊を撃破したアムロは、先に降下したフォワード4人の援護にまわっていた。 未だに速度を落とす気配の無い列車上部にいたリィン。 その近くに着陸する。 「状況は?」 「スターズF、ライトニングF両部隊は既に取り付いて交戦中です!」 そういわれて見回すと、前部車両上部からスバルが飛び出した。 その瞬間を見たアムロは、 「あれなら大丈夫か………」 と聞く。 するとリィンは「はいです!」と答えた。 「なら、ライトニングFの援護に向かう。」 そう告げて後部車両に向かった。 スピードの出てるリニアレールの車両上。 ライトニングFと合流するために急いでいた。 3両目、4両目と通過していき、6両目、中心の車両を通過した。 その時だった。 バゴォォン!!!! さらに先の車両の天井の一部が吹き飛んだ。 「何っ!?」 その途端に、その攻撃でできた穴から2人の人影。 《ライトニングFを確認。敵と交戦中の模様。》 エリオとキャロ、さらには敵の一部と思われる黒い物。 コードでもワイヤーでも無い物体。 まるでグフのヒートロットを横に広げたような形をしている。 「エリオ、キャロ、無事か?」 「アムロさん、今の所は………」 そういってエリオの横に飛ぶ。 穴から見えたのは丸い球体のガジェット。 今まで見たことの無い形だ。 《八神部隊長の言っていた、新型だと思われます。注意を。》 そういわれて武器を構える。 「2人ともいいな?」 「はい!」 「大丈夫です!」 いい返事が返ってきた。 その時だった。 グォォン! 先ほどのガジェットのロットがこちらを狙ってきた。 同時に俺達は跳び上がる。 キャロは後方に跳び、 「フリード、ブラストフレア!!」 強化したフレアを放つ。 が、攻撃も虚しくそのロットに軽く弾かれた。 弾かれたフレアはそのまま右にあった崖に当たり、爆発を起こした。 だがその隙に、 「おりゃあぁぁぁ!!」 エリオとストラーダがその本体を狙う。 高々と空を舞うエリオ。 雷を纏ったストラーダがガジェットの本体を狙う。 しかし、 「ていっ!!」 掛け声と共に降り下ろされたストラーダは、ガジェットの丸い表面に激突した。 だが、一行に傷もつかない。 さらには、周囲にフィールドを張る。 「!?」 突然ストラーダの尖端から光が消え、キャロの足元にあった魔法陣も跡形も無くなった。 「チィ!」 上空にいた俺はすぐさまライフルを構え、攻撃した。 だが、3発撃った魔力弾はあっという間に消え去った。 「AMF!?こんな広範囲に!」 そして、 ドカッ! 「エリオ!」 途端に攻守が逆転した。 エリオはストラーダを横に持ち、敵のロットを防ぐので精一杯だ。 魔力はあっても、体力は子供である。 力勝負では勝ち目は無い。 そこに、 「このぉ!」 《Sabel Mode》 サイコフレームを変形させて飛び込んだ。 イメージは剣。 サイコフレームは、すぐさま形状を変えた。 上についていたライフル本体が緑の光になって消えると、同時にT字が棒状に変わり先端に長く、反対側に短いピンクの魔力刃が現れる。 かつてのνガンダムのビームサーベルになったのだ。 増幅した魔力のおかげで、サーベルは消えないでガジェットまでこれた。 そして剣を切り付けた。 が、 ギィン!! 「!?」 刃はガジェットに届くことはなく、かわりにオレンジ色に鈍く光る刃が剣を受け止めた。 それは斧を構えた緑の人影。 単眼を光らせ、左右非対象の肩をし、身体の至る所にある動力パイプの数々。 サイズは違えど、忘れるはずが無い。 かつて初めて戦い、いくつも落としてきた相手。 そう、 「ザク…だと………!?」 《メモリー内データと照合、全データ一致しました。》 サイコフレームはすぐさま答えを出した。 だがアムロは、未だに信じられない表情で刃を交えていた。 そこに、 《後ろです。》 その警告を受けてすぐさま横に転がった。 そして、さっきまでいた場所を見ると、 「ザクがもう1機!?」 《間違いありません。両機ともMS-06ザクです。》 アムロは信じるしかなかった。 事実、目の前にいるのは確かにザクだ。 その2機は、アムロを見据えると背中から武器を取り出した。 丸い円盤状のドラムマガジンを上に取り付けたマシンガン、ザクマシンガンだ。 「!?」 咄嗟に盾を構えるも、2機はお構いなしに撃ちだした。 「くっ………」 執拗に何十発も撃ち込まれ、身動きがとれない。 その時、 「ぐあっ!」 一際大きい音と共に叫び声が響いた。 そこにはガジェットのロットに捕まったエリオの姿がある。 そしてガジェットは、そのまま開いた穴からエリオを投げ捨てた。 投げられたエリオは、そのまま放物線を描きながら谷底へ落ちていく。 そして、 「エリオっ!」 「エリオ君ーーーっ!!!!」 アムロは敵の弾丸を防ぎながらも外に跳び、キャロは後を追うかのように飛び込んだ。 「キャロ!?」 アムロはその事態を見て、助けるために2人に向かった。 落下する2人、キャロがエリオの手をとった。 その時、2人をピンクの光が包んだ。 そして、 「龍魂召喚!!!!!!」 その叫び声と共に、白き翼が現れた。 大きく、強くはばたく。 それは、真の姿をした白銀の龍、フリードであった。 アムロはフリードの背中に乗っている2人を確認し、すぐに駆け寄った。 「大丈夫か!?」 「はい、キャロのお陰で何とか………」 エリオはさっきの攻撃がきいてるようだが、大丈夫だと立ち上がる。 そこに、 ダダダダ!!!! 「うわっ!?」 近くを弾丸が掠めた。 「あの人型ガジェット………」 例のザクが2機、こちらに向かって来てるようだ。 それを見てアムロは、 「……エリオ、俺が飛び込んであの2機を落として、中のガジェットを打ち上げる。」 とエリオに告げる。 エリオはいきなりの発言に戸惑うも、その話を聞く。 「打ち上げた瞬間を狙って撃破しろ。いいか?」 「はい!」 アムロは作戦を立てていたのだ。 そして、 「いくぞ!」 「はい!」 「わかりました!」 アムロは敵に突っ込んだ。 正面にザクが2機、上方から降下して来ている。 手前のはヒートホークを構え、その後のはマシンガンを構えている。 これほど好都合な状況はない。 俺はサーベルと盾を構えて突撃した。 まずは手前のザクからだ。 ウイングで急接近しサーベルをザクの左脇腹目掛けて叩き込む。 だが相手は機械、反応速度は相当のものだ。 瞬間にヒートホークでサーベルを防いだ。 だが武器を持っている手は右腕、右脇腹ががら空きだ。 「このぉ!」 その空いた隙間に、かつてのコクピット、正面腹部に盾の先端を突き立てた。 めり込む盾、その瞬間に、 《Missile Shoot》 盾から4つの赤い弾丸が貫いた。 その後、盾に突き刺さったザクを振り落とす。 落下する機体、そして爆発。 爆光に照らされ、もう1機は行動できずに射撃に貫かれた。 一撃で、確実に。 わずか10秒程の出来事だ。 その攻撃をしたのは全て盾に内蔵された武装、νガンダムの盾についていたミサイル、ビーム砲まで再現されている。 ビーム砲は出力は低いが汎用性の高い低出力魔導砲に、ミサイルは質量のある物理貫通誘導弾に変更されているのだ。 俺は撃破したザクの爆発を尻目に車両内部に再度侵入した。 そこには以前と変わり無いガジェット3型の姿。 睨み合う俺とガジェット。 そして、 グォォン!! 先手を打ったのはガジェットだ。 2本の黒いロットと無数の赤いワイヤーが俺目掛けて延びてきたのだ。 だが、サーベルを上から縦に1撃、まずロットを切り落とす。 それと同時に床を蹴り急接近。 そこに無数のワイヤーがこちらを捉えようと向かってくる。 だがこれも下にさがっていたサーベルを上に切り上げ、一閃。 ガジェットは無防備となった。 その隙に切り上げたサーベルをガジェットの表面に叩きつける。 だが手応えもなく、刃は触れる直前で消えてしまった。 AMFである。 だが、 「うおぉぉ!」 左腕の盾を変形させる。 腕から拳までを守るかのように変形した篭手、ナックルモードだ。 確かにAMFは強力でサーベルでも倒せなかった。 だが、物理攻撃を一番脆いカメラ部分に叩きつければ勝機はある。 勢いのついた左ストレート、それをガジェットのカメラ目掛けて叩きつけた。 一撃、カメラにヒビが入る。 さらに連続で二、三撃と殴り続け、 バキャッ!! カメラ部分が砕け散った。 オレンジ色の破片が飛び散り、スパークを起こす。 それを確認して右足を蹴り上げた。 その蹴りはガジェットの下部に当たり、上に空いていた穴から飛び出した。 「我がこうは聖銀の剣、若き槍騎士の刃に、祝福の光よ………」 フリードの上でキャロは強化魔法の永唱を続けていた。 手の甲にあるデバイス、ケリュケイオンは、永唱を続けるごとに光を増していく。 「たけきその身に力を与える祈りの光よ………」 《ブーストアップ、ストライクパワー》 完全に永唱を終えたキャロ、 「いくよ、エリオ君!」 攻撃準備を終えたエリオ、 「了解、キャロ!」 2人の息は、ピッタリとあっていた。 そして彼等の目の前に、ガジェットが打ち上げられた。 「今だ!」 そういってストラーダを構え、 「たぁぁぁぁぁっ!!!!」 飛び込んだ。 それと同時に、キャロがストラーダに強化魔法の援護を行った。 「ツインブースト!スラッシュアンドストライク!!」 ケリュケイオンから出た2筋のピンクの光は、真っすぐにストラーダの刃に当たり、 《受諾》 ピンクの魔力刃が現れる。 その大きさは、ストラーダを合わせてエリオの約3倍以上の長さとなった。 「一閃必中!」 バシュ、バシュ、と2回リロードされ、ブースターに火が点く。 エリオの足元には黄色い三角のベルカ式魔法陣、そこから稲妻を発しながら一気に加速をつけ、 ズドン!!!! 割れた真ん中のカメラから、真っすぐに中心を貫いた。 反対側には刃が少しだけ出ている。 そして、 「でぇぇぇりゃぁぁぁぁっ!!!!」 叫び声と共に、ガジェットは上に向かって切られ、 ドゴォォォォン!!!! 完全に爆砕した。 その爆発に飛ばされるエリオ。 満面の笑みだが、現在位置は車両上空。 無論、飛行魔法は使えない。 「えっ………」 残念ながら落ちるしか選択肢は無い。 「うわぁぁぁぁぁ!?!!」 落ちる、真っ逆さまに崖の奥底に向かって。 だが、白銀の龍とそのマスターが彼の落下位置に待っていることは言うまでもない……… 戦いが終わり、リニアレールも停止している。 車両の上にはその戦いを征した魔導師、機動六課の面々が立っていた。 そこには、他の航空隊を全滅させた2人の姿もある。 その中の1人、オレンジ色の髪の少女は銃を下におろしながら青い髪をしたハチマキの少女と話している。 そのハチマキの少女の手には重厚な小さな箱。 赤い宝石、レリックの入った箱である。 だがその戦いを崖の上から見ていた人影は、それより赤い髪をした少年と金髪の女性を見据える。 独特な形をした頭部に3つの目。 偵察用人型ガジェット、MS-06E-3、ザク・フリッパー。 目のひとつひとつが思い思いにズームをする。 そして、もう一つの目が捕らえたのは、茶色い髪をした男の持っているデバイス。 T字を基本形状とした最新型デバイス、サイコフレームを見据えた。 薄暗い室内。 至る所にある機械の数々。 そして正面にある大きなモニター。 まさに研究所の一室と言える場所に、その男はいた。 紫の髪。 いかにも科学者と思える白衣。 と、そこに、 『ドクター、No.9のレリックが護送体制に入りました。』 新たなモニターが現れ、一人の女性がそう告げる。 だが、ドクターと呼ばれた男は、ザク・フリッパーの写している画像を見ながら、「ふぅん………」と小さな返事のようなものを返した。 その女性はさらに続け、 『追撃戦力を送りますか?』 と聞く。 だが、 「やめておこう、レリックは惜しいが彼女達のデータだけで十分だ。」 そういって先程の戦闘映像を見る。 「それにしても、この案件は実に素晴らしい………」 うっとりするような声で戦闘を見る。 ガジェットの働きを見るのではなく、魔導師達に目を奪われているようだ。 「興味深い素材をもっている上に………」 モニターに写される4人の魔導師、なのは、キャロ、スバル、アムロの4人。 さらにモニターを変えて写したものはフェイト、そしてエリオの2人。 「生きて動いているプロジェクトFの残滓を、手に入れるチャンスを………」 歪んだように笑う、 「そして………」 そういってモニターを変えると、そこにはサイコフレームが写る。 「こんな物があるとは………」 そういって振り向く。 そこには金髪の男。 「素晴らしいとは思わないかい?」 だがその男は、 「私はそんな物に興味は無い………」 とあっさり返した。 「そう言うな、No.0。」 ドクターはそう呼ぶと男は、「その名で呼ぶな。」といい返す。 その姿を見て笑いながら、 「ならこう呼べばいいのだろう?」 といい、その名を呼んだ。 「……シャア・アズナブル………」 前へ 目次へ 次へ